毎年5月の第2日曜日が「母の日」、6月の第3日曜日が「父の日」となっていますが、幼稚園や保育園でもその月になるとプレゼントを作ったり、似顔絵を描いたりすることが定番になっていました。
しかし、最近はひとり親家庭も増えてきていることから、母の日や父の日のイベントを中止する園も増えているそうです。
私が保育士として働いていたときの経験から、子どもや保護者への配慮の仕方や、今実際に親になってみて改めてその問題について考えてみたことを書いていきたいと思います。
「母の日」「父の日」のイベントはしない方がいいのか
最近はひとり親家庭も増えているため
「お父さんお母さんがいないのに似顔絵を描かせたりプレゼントを作るのは子どもが可哀想だ。」
「もっと配慮するべきだ。」
と言われていますが、正直私はプレゼントなら作ってもいいんじゃないかな?と思います。
とりあえず、お父さんお母さんがいない子もいるとは思いますが、父の日母の日は
日本の文化としてあるわけで、日頃お仕事や家のことを頑張ってくれている親に感謝することを子どもたちに教えるということは大切なことだと思います。
じゃあ、感謝をする日なんだということだけを伝えて、似顔絵やプレゼントは家で描いたり作って渡せばいい。という人もいるかもしれません。
しかし、子どもを産んでから気づきましたが、いざそういうことをしようと思っても、時間や機会がないんですよね。
園でみんなでワイワイとうちのお母さんはこうなんだよ。お父さんはこんなことしてくれるんだよ。という話をしながら、お父さんお母さんの似顔絵を描いたり、プレゼントを作っているときの子どもたちはすごいかわいいんですよね。
そうやって大好きなお父さんやお母さんのことを考える時間は子どもたちにとってもすごく意味のある時間なんじゃないかな、と思います。
ひとり親本人は案外ケロっとしている?
一方で、ひとり親家庭の親御さんは自分の子どもが父の日母の日に、傷ついたり悲しい思いをするかもしれないから、制作はしないでほしいという人もいると思います。
逆に気を遣われるのが嫌な親御さんもいます。それはもう本人に聞かなければわからないことなんですよね。
保育園、幼稚園の先生たちは毎年、制作をやるかやらないか、やった場合クレームがこないか、子どもが傷つかないか、考えることがたくさんです。
しかし、それは園で勝手に決めてやってしまうからひとり親家庭の親御さんも「配慮してくれないの?」となるわけで、
「今度父の日制作でプレゼントを作ろうと思うんですけど。お父さんがいない家庭の子は大好きな人にプレゼントするということにしようと考えているんですけど、どう思いますか?」などと事前に一声かけることが大事だと思います。
私の経験上、「あっそれで大丈夫です。」というように意外とケロっとしてる親御さんが多い気がしますが、みんながそう言ってくれたら制作をすれば良いし、
「子どもがかわいそうなので、プレゼントは作らないでほしい。」という親御さんがいる場合はしなければいいし、柔軟に対応していけばいいのではないかと思います。
大人の心配は子どもへ伝染します
私が働いていたのは保育園なので、ひとり親家庭は珍しくありませんでした。
そのためクラスでは、
「うちお父さんいないよ」
「あっうちもー」
「たまに会えるよねー」
というような会話もしばしば(笑)
そして、子どもたちを見ていて気づいたんですが、大人がコソコソしたり隠そうと気遣うから良くないんですよね。
ひとり親の子本人も周りの子も
「あれ?お父さんがいないことって隠さなきゃいけないことなのかな?」と感じてしまうんです。
なので、私は子どもたちに
「先生も一人暮らしだからおうちにお父さんはいないけど、遠くで暮らしてるよ。
◯◯ちゃんのおうちはおばあちゃんも一緒に暮らしているし、◯◯君のおうちには赤ちゃんもいるよね?
そういう風に色々なおうちがあるんだよ。」
と教えていました。
すると意外と子どもたちは「そっかー!」とすんなり受け入れてくれます。
また、このような前置きがあれば、
「お父さんがいなかったら、おじいちゃんでもお母さんでも大好きな人にプレゼントをあげていいからね。」と言えますよね。
まとめ
ひとり親の親御さんは父の日母の日が近づくとモヤモヤしたり、子どもの心配をしてしまうと思います。そんなときは一人で悩まず、まず園に相談してみることをお勧めします。園はきちんと考えてくれますし、不安も軽くなると思います。
そして、園側も相談されるのを待つのではなく、こちらから提案したり相談して、しっかりコミュニケーションをとり、親御さんや子どもの不安を軽くする努力をしていきましょう。
まずはひとり親が特別とかではなく、色々な家族の形があることを家庭でも園でも日常で子どもたちに伝えていくことが大切です。
大人も子どもも柔軟な考え、強いメンタルを共に育てていき、父の日母の日を楽しめるようになれたらいいなと思います。